こころの歌創作教室

第5回 メロディづくり(その1)


日本語本来の美しさを正しく伝える
 さあ、始まりますメロディづくり。あなたの想いを歌に託しましょう!

「ねえねえ こないだ(このあいだ)のかせいふはみたみた?」

 平仮名(ひらがな)・片仮名(カタカナ)は表音文字(ひょうおんもじ)。どのように発音するか(どのように声で表すか)を示します。一方、

「ねえねえ この間の<家政婦は見た>観た?」

 漢字は表意文字。どのような意味を持つかが判ります。日本語での<書き言葉>は通常、平仮名・片仮名・漢字を組み合わせて表現します。  一方、話しことばには仮名も漢字もありません。言葉の意味やニュアンスを聴き手に正しく理解してもらうためには何が大切になるでしょう?もしも、罷り間違って

「ねえねえ子 凪いだのか政府は!三民た?」

 なんて聴こえたら悲劇ですよね。ま、おふざけはこのくらいにして。

 歌の歌詞は「話しことば」の仲間と考えようとお話ししました。従って、歌詞の意味合いを正しく伝え、共感してもらうことをメロディづくりの段階で配慮することが不可欠なのです。 ※歌を創る際、メロディ創りの段階で、プロの作曲家だれもがこのように考えているかというと、必ずしもそうではありません。むしろ、日本語のニュアンスを変形して作曲することで「個性」「注目度」を狙おうといった傾向もあります。
 「こころの歌創作教室」では、この「日本語本来の美しさを正しく伝える方法」を出発点としてメロディ創りを進めていきます。この方法なら誰でも「正しく・易しく」メロディを誕生させることができるのです。


 さて、「こころの歌創教室」の初回で、次のような例を聴いていただきました。


<♪音楽1>

 これは「あ、母ちゃんは らってる」と聴こえましたね。一方、



<♪音楽2>

 一方、こちらは「赤ちゃん 笑ってる」ですね。


 仮名で書くと、どちらも「あかちゃんわ(は)らってる」ですが「メロディの高低」と「各音の長短(音のない間合いも含めて)」によって歌詞の意味合いが変わってしまうわけです。  そして、この『高さと長さ(音のない時間も含めて)をことば(歌詞)に付ける』ことが<メロディを創る>ことなのです。
 
表現したいイメージは?
 さて、では次の三つのメロディを聴いてください。3例共「今も 忘れられない思い出」と歌っています。


<♪音楽3>


<♪音楽4>


<♪音楽5>


それぞれ、どんな雰囲気(イメージ)を感じましたか?  もう一度 音楽3〜5 を聴いて、それぞれが次のどのイメージに近いか感じてください。

A)あの夏の夜、心躍らせた 激しい恋!・・・

B)あの時の一言が全てを変えてしまった・・・深い後悔の念が今も・・・

C)あれから随分年月が経ったけど、今も忘れられない懐かしい思い出・・・

さあ、どうですか?多分、大多数の皆さんが、音楽3=C、音楽4=B、音楽5=A でしょうね。

 どのようにして目的のイメージを表現するか については後日お話ししますが、実際にはこの表現したいイメージに沿った拍子、テンポ、ダイナミック(音量)の変化などが連動することになります。伴奏を付ける段階では「伴奏楽器の編成」「ハーモニー」「リズム伴奏」他が連動します。また、子ども向けの歌、若者向けの歌など対象を限定した場合など、心がける事項がありますが、詳しくは後に事例を挙げてお話しします。

ことばの数とメロディ
 例えば「ことば」という言葉は「こ」と「と」と「ば」の三つで表現されます。これにメロディを付ける場合、通常は

 <こ> <と> <ば>

 という風に三つの異なる音をつけて歌うわけですが、しかし状況によっては

 <こと> <ば>

 という風に、ひとつの音で二つ発音してもかまいません。一番・二番の同じメロディのところでことば数が異なる結果になった場合などはこの方法をとります。歌詞づくりの段階でも言いましたが、なるべく1番・2番・3番・・・と、言い回し(言い換え)の工夫によって、ことば数を揃える方がよいと思います。
※本講座で使用される音楽は、すべて著者の監修により録音・編集されたものです。
※楽曲の著作権は、著者、および、作詞者・作曲者が有します。無断で使用することはできません。




次回から実践的メロディ作りに入ります。
ではでは・・・

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