こころの歌創作教室

第6回 メロディづくり(その2)


聴き手を意識したメロディづくり
 メロディづくりの二回目です。さあ、あなたの想いを歌に託しましょう!必ずできますよ!!

 あなたが創る歌を、特に誰に聴いてもらいたいですか。あなたが創る歌は、今回、どなたに向かってのメッセージですか?子供向け・若者向け・熟年向け・女性向け etc.・・・

では聴いてください。このふたつの歌は「こども」「若者」「熟年」誰に呼びかけているでしょう?歌詞は、

「あなたは どんな 夢を見ますか?」


<♪音楽1>
 どうですか? では二つ目・・・


<♪音楽2>
 いかがでしょう?

 音楽1は子供向け、音楽2は熟年向けの感じがしませんでしたか?

 伴奏のテンポ、リズム、ハーモニーも、勿論大きく関係しますが、子供向けのメロディは簡潔で歌い易く軽く、明るい色合い熟年向けには、懐かしさ、大きさ、過去の記憶を呼び起こす効果が関連します。あなたがご存知の歌について、この観点から分析してみると面白いですよ。ともあれ、通常はまず「歌詞」に基づき「メロディ」が創られる、それがベースになって伴奏の形態、テンポ、音楽ジャンルの選択などにより、様々な相乗効果が生まれるわけですね。


<話しことば>の抑揚(音の高低)とリズム(音の長さの相互関係)を思い浮かべて
 ここで使うマス目状の枠組みは、縦が音の高さ・横が長さを表します。歌詞の中に「高いね!(たかいね!)」という言葉があるものとしましょう。「高いね!」を表現するメロディはどう作ればいいでしょう。

         
       
 
「高い」と聴こえますが、それ程高くはないみたい。どちらかと言うと、買い物に 行った店先で値切っているみたい。
     
     
       
「他界」と聴こえますね。しかも、ちっとも悲しんでいないみたいです。
       
       
   
「高い」と聴こえます。でも「だから何なの?別にどうってことないでしょ」  と言われたようで・・・ショック。
     
       
     
これでOK。
「うわーっ!あの山、高いねー!!」といった感動が伝わってきます。


 メロディ作りは「ことばの意味を誤解されないよう」「気持ちが伝わるよう」音の高低と長短についての配慮が必要でしょう。そしてこの「話しことばの抑揚をメロディづくりに反映することが、実は労せずしてメロディを導き出す」大きい手がかりにもなるのです。ぜひ、あなたの周辺の「もの」や「できごと」に関わることばをメロディにして口ずさんでください。

 これができれば、メロディづくりの70%はもうOK!!

 
「木枯らしによせて」の後悔談
 ここでチョットだけ自伝。私は若いころ、殆ど全てにおいて発達・成熟が遅れていましたが、ただひとつ、音楽を生み出すことだけは早熟でした。小学校でメロディづくり、即興演奏を始め、大学時代は1年後半から男声合唱団の指揮者になり、劇団から委嘱されて舞台劇のテーマやBGMなどを作っていました。
 大学時代、女声合唱団から委嘱されて作曲したのがこの「木枯らしによせて」なんです。私はその後、東京へ出ましたが、女声合唱団では、その後10数年、合唱団がなくなるまで歌い続けられたそうです。で、いまもその皆さんが1年に一回集まって歌っていらっしゃいます。

・・・といった曲なのです。前述の高さ・長さについては、このころから実行していましたが、他に問題点があるのです。では一部ですが、聴いてください。


♪音楽「木枯らしによせて」

 どうですか?気が付きましたか?

合唱団(女声合唱団"音夢")のみなさんが上手く対処してくださっていますから気づかないかもしれません。問題点は次のとおりです。

木枯らしが吹けば あなたを想う・・・

 「あなたを想う」をローマ字で書くと、<anataoomou>となります。 つまり<〜をお〜>が連続しているため、ひとつの<お>に聴こえてしまいかねないのです。ここへ配慮が必要でした。

木枯らしの中へ・・・<〜nonakae>木枯らし野中へ・・・と聴こえかねない。また、

吹けば あなたを想う・・・<fukebaanataoomou>吹けばーなたおーもう・・・となりかねない。

と言うわけです。

 このように、話しことば、会話の中では、大抵の場合は意味(意図)が理解できることばも、歌詞になって歌われる場合、メロディ次第では「意味不明」になったり、「他のことばに誤解され、気持ち、意味が通じなくなる」ことがあるんです。ですからメロディ作りの途中は勿論ですが、出来上がったあとも「大丈夫かな?」と、客観的なチェックをお勧めします。
 
※本講座で使用される音楽は、すべて著者の監修により録音・編集されたものです。
※楽曲の著作権は、著者、および、作詞者・作曲者が有します。無断で使用することはできません。




さて、メロディ作りも佳境に入りますぞ。
次回はメロディ作りの三回目です。お楽しみに!

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